自動飛行ドローンは荷物配送や動画撮影、セキュリティなどさまざまな応用が期待されています。このようなドローンを実現するためには、飛行のための姿勢制御に加え、目的地まで安全に飛行するための各種情報処理技術が非常に重要です。我々の研究グループでは、飛行環境の変動に頑強な高信頼な自動飛行ドローンを実現するために、飛行計画アルゴリズムの開発を中心に、その高速化に関する研究を行っています。また、飛行環境の急変や想定外の事象にも柔軟に対応する「備える技術」を開発し、ドローンへの応用も目指しています。
ドローンの飛行計画問題を組合せ最適化問題として捉え、その解をオンライン(=動作中)で効率的に探索するための手法について研究を行っています。組合せ最適化問題とは、制約を満たしつつ評価値が最も高い最適解を探索する問題です。これは進化的アルゴリズム(SA)や遺伝的アルゴリズム(GA)などのメタヒューリスティクスで解くことが多く、アルゴリズムのチューニングが非常に重要です。一方、解探索の処理自身は単純なため、専用ハードウェアの設計などにより処理の高速化が期待されます。本研究では、アルゴリズムのチューニングと高速処理のためのハードウェア化を協調して行い、オンライン解探索を効率化するための手法の開発を目指しています。
ドローンを安全に飛行させるためには飛行環境の急変に柔軟に対応する事が必要不可欠です。 既に、障害物回避などに関する研究が行われていますが、ドローンの飛行の安全に影響を及ぼす要因は障害物以外にも多岐に渡っています。建物や樹木、鳥や他ドローンなどの障害物に加え、ゲリラ豪雨や突風など気象環境の急変が容易に想像できます。加えて、カメラ故障、電池切れ、電波消失など機体やシステムに起因する障害も考えられます。これらの障害はいつどのような形で発生するかを事前に想定することは困難です。
そこで本研究では、このようなさまざまな想定外に対する対策を事前に講じるために、飛行環境の急変に備えるドローンを開発します。特に、近い将来の想定外の飛行環境シナリオを多数生成し、それらに対する対策を事前に求めておく(=備える)ことで、想定外の事態を克服します。そのための、飛行環境シナリオ生成手法や多数の飛行計画を並列で探索する手法について研究を行い、IoT時代の空の安全に貢献することを目指します。